感覚の教育
なぜ、シュタイナー教育にひかれたかというと
前の記事 に書いたように魅力的なことはいろいろあるのですが・・・
やはり「感覚」を大切にしているということです。
現代日本の教育では、「目に見えない、数値で測れない感覚」というものを、軽視してきたと思います。
感覚を無視した詰め込みの教育、受験、環境・・・
その影響により、テストの点数、スピード、知識量、学校、役職など
数値や目に見えるもので、幸福さを判断しているような気がします。
けれど、「本当の幸せ」ってそれだけはないように私は思います。
そういった教育のもと、時代と共に「モノの豊かさ」が満たされましたが、それと反比例するかのように「ココロの豊かさ」が満たされない人が増えてきたように思います。
数値で測れるものは成長してからでも十分学ぶことができます。
しかし、感覚や身体というのは、今その時期(特に幼少期)を大切にしないと、後で取り戻すことは難しいように思います。
いくら努力しても、お金を使っても・・・
子供にはその感覚を、教育するというよりは、阻害しない環境に、そして自らの力で成長してもらいたいという思いでシュタイナー教育に興味を持ちました。
(仕事でロルフィングという身体教育をしていることもあり、特に感覚というものを大切にしたいという思いもあります。)
シュタイナー教育の問題点
前回の記事を見ると、一見とてもいいことばかりなのですが、もちろん物事には賛否両論。
もちろんシュタイナー教育においても問題点、気になる意見もあるのでそこに触れてみます。
・料金
非認可のところが多いので、学校には公的資金が出ませんし、学費にも補助が出ないので高くなります。
また、通学定期などの学割購入もできないそうです。
・周りの理解・協力
幼稚園は義務教育ではないので、問題ありませんが、
小中学校は義務教育なので、法的に居住地の小中学校に在籍しておく必要があります。卒業時にも在籍校に卒業を認めてもらうなど、理解が必要になってきます。(シュタイナー学校でも認可を受けているところもあります)
・勉強について
日本の教育のように、暗記、テストのような考えはないので、卒業後進学するためには勉強に集中する期間が必要。
・大学に行くには・・・
旧大検をとる必要があります。シュタイナー学校では「日本的な勉強」はほとんどしないので結構大変だとか。けれど、する子は勉強して一流といわれる学校、企業などにも行っているそうです。
上記の形式的なことには、私は特に気になりませんでした。
受験目的で勉強をいっぱいして、いい成績でなければ・・・なんて気持ちはありませんので
その他にも
・先生の対応が理解できない
園の考え、シュタイナー教育の考えからの先生の対応などが理解できず、辞めたという情報もありました。
ただ、子供のために「良いと言われるシュタイナー学校へ」というだけでは、きっと戸惑われるでしょうね。
テレビを見ない、キャラクターものを使わないなど、園だけでなく家庭における子供との関わり方にも及びますし、やはり他の園とは「違う」のですから。
生きづらさは?
私の一番の心配は、
感覚を大切にしていく教育なので、
「感覚的な生き方」は良さもあるのですが、
この日本の社会で生きていくのならば「生き辛さ」があるのでは?というところが心配です。
(シュタイナー教育の「感覚」という部分に惹かれたと書いていたのに矛盾しているようですが、行き過ぎると心配になるということです。)
日本は頭社会ですよね。
自分を守るために、見ないように、聞かないように、感じないように・・・感覚を抑えたり、閉じたぐらいがちょうどよかったりします。
それは決して悪いことではありません。
でも、そんな社会の中で、感覚的な人は、とても大変だろうなと思います。
(ロルフィングでも感覚が開けてくると、いろいろなことを感じだすようになり戸惑う人もおられます。)
日本の中ではシュタイナー教育を受けている人は少数派。
そして、少ないものは、「違うもの」とみられてしまいます。時に、否定されることもあるかもしれません。
海外では個を尊重する国もありますが、日本では個を認めない右にならえ的な社会の意識が強いように思います。
そういうこともあるからか、シュタイナー学校卒業後は海外に行く人や、芸術の世界へ、フリーランスの方が多いとも聞きます。
だから、シュタイナー教育は人間の本質的に合っているとは思うのですが、日本の社会にあってるかというと、少し難しさもあるような気もします。
(どこまで正しい情報かわかりませんが、シュタイナー学校に行っていたという人が、「普通の学校に行き、普通の生き方をしたかった」と書いてあった記事もみかけました。もちろん感覚をいかし社会で活躍されている方もたくさんおられるようです。)
今の日本の社会に足りないのは想像力。
だからこそ、感覚をもって新しく切り開いていくのか、
それとも、感覚を抑えて社会に属するのか・・・
どちらも正解だと思います。
私としては、子どもは7歳頃までは感覚を大切にしてやりたいなと思っています。(シュタイナーでは7歳までは夢の中といわれていますし、実際そうだろうなと思います。)
なので幼稚園はそういったところ(シュタイナーの園に限らず)に行かせてあげようと思っています。
そのあとは、子供と相談しながらかな。
「コラー、ダメ、止めなさい」と毎日言われたり、
〇〇できればよい子、〇〇しなくちゃいけない・・・
大人のいうことを聞く子が正しいというのは、幼少期にはおかしいかなと思います。
(最近大人びた子供が多いですが何か違和感があります。)
特に日本の右にならえ的な教育(一斉教育)は、勉強できる、親の言うことを聞く子になるかもしれませんが、感覚を含め大切なものを無くしてしまう恐れがあるように思います。
一方の「自由」ということにも意味を履き違えている場合があります。
より自然なことを
このように書いていると、シュタイナー教育は何か特別なことをしているイメージがありますが、
人間の本来もっている感覚に対して、より自然なことをしているだけ
それは、子供にとって必要以上に刺激を与えないようにして、
必要なもの最善なものを用意してあげているだけのような気がします。
昔の日本は、川で遊び、虫を集め、空の青さ、四季を感じ・・・感覚を持って生活をしてきました。
それと、近いような気もします。
むしろ現代の日本の教育の方が、感覚や気持ちを無くした特別な教育のような気がします。 (もちろん私自身は普通の学校でしたし、大切なものもたくさん学びました。大切な友人もできました。)
タイトルにはメリットデメリットと書きましたが、シュタイナー教育が良いとか、悪いではなく、
「違う」ということを認識し、子供、自分、家族にとっての良さや問題点も知ったうえで、
どちらを選ぶのか、どのような生き方を選ぶのかというのが大切かと思います。
また、シュタイナー教育とひとくくりにしてしまいがちですが、園によっては方針や考え方がずいぶん違うような気もします。
先生でも、シュタイナー教育の思想や哲学にどっぷりという方もいれば、より柔軟に対応されている方もいます。
やはり、教育というよりも、
その思想をもとに人(先生・親)がどのように子供たちと関わっていくかが大切だと思います。
これらは、あくまでシュタイナー学校の先生の話、体験会、本などから私が個人的に感じた内容です。
ですので、間違った内容が含まれているかもしれませんがご了承ください。
次もシュタイナー教育、他の園のことも書いていきます。
コメント
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ど~も、なつこです^^V
カトーさんのご意見・・・ごもっともだと思います・_・。
私は、「先生」と呼ばれる教育関連の職についていて、さらにロルファーでもあり、双方の見解ができる立場に置けますが、感じる事はおなじです。
子供の個性を尊重できるシュタイナー等の特殊教育は確かにすばらしいと思います。
しかし、日本で生きる・・・というよりスケール大きくとらえると(笑)、「生きる」ということは、特殊な世界でも何でもなく、<日々の暮らし>であり、他者とかかわって行く以上、平和な事(特定の枠の中) ばかりではないわけですよね・・・。
むしろ、たとえ日本の一般教育が宜しくなかったとしてもその中から学び、そして悪しき事象は親が責任をもって教えていれば、おのずと子供は「考えるということ」そして『生きるチカラ』が備わって行くように思います。
とかくちょっと個性的な生き方(笑)を私が選んだ時、先人達が言った事には、「どこへいっても生きていけるチカラが人生には必要だから・・・それも道だね」とアドバイス貰った事があります。
そして、何より、家庭円満が子供には<最大の教育>と、生徒を見ながら感じています^^V
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>Natsukoさん
ありがとうございます
「教育」って難しく、大きなテーマですよね。
毎日毎日ロルフィングや子育てから学ばされることばかりです。
そうですよね。
ついつい教育理論やテクニックなどに走ってしまいがちですが、
大切なことって家庭円満だったり、教育者(親、先生、プラクティショナー)の心と身体のバランスが本当に大切だなと思います。
それが難しかったりするんですけどね(笑)
こうやって考えたり悩んだりしながら、スムーズにいかないからこそ人生っておもしろい!と楽しもうと思います^^
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ヴァルドルフ教育の目指しているものは生きることへの柔軟性もその一つだと思います。
日本では「柔軟に対応」というのは一部分だけ取り入れる、曖昧にしておく、こだわりが無いことを表すこと」が多いですが、本来の柔軟性とは、「本質的なものを掴んでいること」だと思っています。
本質的な事を掴むことは、限られた条件や環境の中でもより自発的に創造的に生きることが出来るようになること=その人の自発性の自由に繋がるからです。
だからヴァルドルフ教育は「自由への教育」と第一義に掲げているのだと思います。
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>yukaさん
そうですね。自由、本質、柔軟・・・とても深いですね。
私自身は、ヴァルドルフ教育、その他の教育などを調べて、現在子どもはモンテッソーリ教育の園に通っています。
そして、園に入り2か月経った今、本・文献などからの言葉だけを捉えて、まさに自由や柔軟ということの意味を間違えてとらえていたんだなと感じました。(実際に私が体験しているわけではないので、今だに知識レベルはもちろん、行動や感覚レベルでは理解できていない気もしますが…。)
子どもの変化とともに子どもとの関わりが大きく変わり、理論や知識を超えた『体験』からの学びに家族皆とまどいながらも、日々子どもとともに成長している感じです。
yukaさんの言葉、妻とともにあれこれと話していた内容だけに心に響きました。ありがとうございます。
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シュタイナー教育は受けていませんが、オイリュトミストをやっています。問題点やメリット・デメリットをしっかり書かれていて、すごく参考になりました。ありがとうございます。
ヴァルドルフというとふわふわしたイメージを持たれがちですが、私は「こっち側の社会」にピントがあったオイリュトミストを目指しています。
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>オイリュトミストさん
コメントありがとうございます。
私自身もシュタイナー教育を受けたわけではありませんので、詳しいことはわかりませんが・・・
いつか子供たちとともにオイリュトミーを体験したいと思っています。
ニューヨークで活動されているのですね。ブログ興味深く読ませて頂きました(呼吸おもしろいですね)
シュタイナーの考えが多くの人に広がれば嬉しいですね。
今後ともどうぞよろしくお願いします
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わたしはシュタイナーが大好きで、なので子どもにもシュタイナー教育を受けさせたかったです。でもまずはじめに思ったのは、日本ではムリ?ということ。
でも出来る事といえば?と考えました。
(寝ている子を起こさない。家の中はなるべくピンクっぽくメルヘンにする。テレビをなるべく見ない。字や数字を教えない!物語を絵を見せずに読んであげるだけ。)
など自分で出来る限りは実践していました。自然と仲良くしたいので、日中はほとんど公園にいました。
今小4ですが、いつも周りから一目おかれるユニークで人気者になっています
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>ひろこさん
とてもステキな教育ですね。
お子さんにとってすごいプレゼントだと思いますよ。
ひろこさんが書かれているように教育・習い事・遊び・刺激・・・新しいことを与えることだけでなく、
既に子供の中にあるステキなものを守るために、やり方を変える、やめる、与えないことが大切なんだなと改めて感じました。
うちも子供たちの感覚を阻害しないよう、自然の中でのびのび育って欲しいなと思いつつ最近はテレビやおかしも好きになって・・・
見習わせていただきますね。ありがとうございます。